スタッフ
若木宏文(理学部)数理統計学
栁原宏和(情報科学部)統計学
橋本真太郎(総合科学部)数理統計学
以上の3人以外にもあと4人居て計7人のスタッフがいます.
数理統計学グループではどのようなことが学べますか?。
統計学を専門とし、多変量解析、推測理論、統計的漸近理論、実験計画法、ベイズ推測、ノンパラメトリック法、時系列解析、計算機統計理論などデータから情報を引き出すための方法と理論の研究を行っています
総合科学部、情報学部、理学部数学科という3つの学部の学生を受け入れていることが特徴。学部の垣根を超え、学生が興味ある分野を幅広く学ぶことができます。学部4年の時に、担当教員を決めて研究を行いますが、途中で「この研究は自分には向いていないな」となった時にフォローアップできる体制が整っています。
担当教員はどのような研究をされているのですか?
理学部数学科の若木教授:
理論に重点を置いた研究を行っています。例えば洋服を作りたいと思った時、身長、体重、体格が必要になりますよね。ランダムに選んだ人(標本)の身長、体重などの測定値を用いて、日本人全体の体格に関する分布が推定できます。体格の分布が推定できれば、それを利用して、XLサイズの洋服はMサイズの洋服に比べて需要がどれくらいかわかると思います。一部分の標本から知りたい分布をいかに精度良く推定するのか。そういったことを理論的に研究しています。
情報科学部の栁原教授:
統計学が専門。複数の変数を持つ多変量データの解析手法である、多変量解析法について理論的考察や新たな手法の構成などを手掛けています。具体的には回帰モデルを利用して、マンションの販売価格を推定したり、クジラの脂肪圧データに対して成長分析を行っています。
総合科学部の橋本准教授:
統計学の中でも特に,ベイズ統計学が専門です。ベイズ統計学は、事前情報を事前分布と呼ばれる確率分布で表現し、それを観測データで上書きして得られる事後分布と呼ばれる確率分布に基づいて推測や予測を行う方法です。主にその理論研究と方法論の開発を行っています。
これまで在籍されていた学生さんで心に残っている卒業研究はありますか?
広島東洋カープがセントラルリーグで優勝した年の日本シリーズで、選手打順やピッチャーを入れ替えて、広島東洋カープの勝つ確率を上げるにはどうしたらよいかという疑似シミュレーションを行った学生がいました。最終的に北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手をピッチャーと野手、両方スターティングメンバ―に入れずに編成すると、広島東洋カープの優勝確率が70%に上がるという興味深い結果に。同じように野球をテーマに切り口を変えて、県の美肌ランキングが高ければ、高いほど優勝の確率が下がるといった面白い解析結果を出した学生もいました。もちろんそのような要因を考えることが正しいとは言えないのですが,県の美肌ランキングが低ければ優勝できる。ということは、肌のことを気にせず応援しようという結論に落とし込んでいましたね。
また、別の例では自分の子孫が総理大臣になる確率をシミュレーションした学生もいました。現在の出生率や結婚する確率などのパラメーターを入れてシミュレーションすると、30代後に、総理大臣になるという結果に。ただ、30代後の日本の人口が出生率の低下でなんと0人という数字が出てきて、総理大臣になることを考えるより、出生率を上げることをまず考えなくてはならなくなりました。出生率の高いスウェーデンやフランスで行っている政策を日本で取り入れ、その財源を用意するために、年金給付を70代からに変更するなど、様々なアイデアを取り入れ論文をまとめていました。
数理統計学グループで面白い取り組みがあれば教えてください。
統計グループの学生や研究者を対象にした金曜セミナーを行っています。広島大学が千田町にあった頃からの取り組みで、広島工業大学や広島女子大学の統計の先生が一同に集まって、合同でセミナーを開催していました。毎週講演者を決めて、その先生が手掛けている研究について発表していただいています。他にも、今年はコロナの関係で行っていないのですが、夏休みにグループ全員でキャンプを行い、卒業論文の研究課題についてざっくばらんに話し合う機会も設けています。学部の枠を超えて学生が交流することで、多様な価値観が共有でき、とてもいい刺激になっていると思います。
今後、数理統計学グループで挑戦されることがあれば。
2020年10月に東千田キャンパス内に「AI・データイノベーション教育センター」が設立されました。若木教授が副センター長、栁原教授が部門長、橋本准教授と他のスタッフ4名が研究員として就任しています。
今後企業と産学連携で研究していくなかで、即戦力としてデータ解析ができ、社会問題を解決できる数学者を積極的に育成していきたいなと考えています。