第9回金曜セミナーで院生の岩重さんが講演を行いました
2024年11月15日,広島大学大学院先進理工系科学研究科で2024年度第9回金曜セミナーを開催しました.今回は本グループの大学院生の岩重さんが「正規化逆ガウス分布を用いた有限混合モデルの混合数のベイズ推測」というタイトルで講演を行いました.
●講演者:岩重 文也 氏(広島大)
●講演題目:正規化逆ガウス分布を用いた有限混合モデルの混合数のベイズ推測
●講演内容:有限混合モデルはクラスタリングや密度推定に応用される重要な統計モデルである.有限混合モデルを 用いる際には混合数を事前に決めなければならないが,その選択は非常に難しい問題である.ベイズ統計学では,混合数を推定するために混合数に事前分布を仮定した有限混合の混合(mixture of finite mixtures, MFM)がよく用いられる.本研究は混合比率の事前分布として通常使用されるディリクレ分布ではなく,正規化逆ガウス分布に基づく MFM による混合数の推定を行う.当日の発表では,数値実験を通して提案手法の性能を確認し,今後の課題を述べる.
次回は【11月22日(金)】に開催予定です.どなたでも参加できますのでぜひお越しください!
第8回金曜セミナーで門田准教授が講演を行いました
2024年11月1日,広島大学大学院先進理工系科学研究科で2024年度第8回金曜セミナーを開催しました.今回は本グループの門田麗准教授が「Three-mode GMANOVAにおける推定法の提案」というタイトルで講演を行いました.
●講演者:門田 麗 氏(広島大)
●講演題目:Three-mode GMANOVAにおける推定法の提案
●講演内容:同一個体から複数の項目に対して複数回, 回答を収集した際に得られるデータは3相データと呼ばれる構造を持つ経時測定データとみなせる. 3相データに対して, 個体ごとの特徴を表す説明変数 (個体間説明変数), 項目ごとの特徴を表す説明変数 (項目間説明変数) 及び経時トレンドを用いて解析する統計手法としてThree-mode GMANOVAモデル がある. 本発表では個体間説明変数および項目間説明変数が未知または既知の場合に分けた推定法を提案する.
次回は【11月15日(金)】に開催予定です.どなたでも参加できますのでぜひお越しください!
スマート社会産官学民協働まちづくりフォーラム2024で小田助教を代表とするCOMMONプロジェクトの事例紹介・ポスター展示が行われました
2024年10月19日,広島大学東広島キャンパスで全国Town&Gown構想推進協議会「スマート社会産官学民協働まちづくりフォーラム2024」のフォーラムが開催されました.
本イベントは,企業を含む産業界・官公庁・大学・地域の多様な組織の者同士が,地方創生に取り組む中での課題や経験談を共有し自分たちの今後の活動に活かしたり,情報交換や交流を促したりすることを目的に開催されました.
午前の事例発表では,産官学の各分野の担当者が地域連携事例やまちづくり,環境問題に関する実際の取り組みを紹介しました.その中の「Town & Gown構想」のセッションでは,小田助教らの研究者チームと東広島市消防局によるCOMMONプロジェクト(※)「現在の需要分布に合わせた消防車両と隊員の最適配備~サスティナブルな消防力50年計画を目指して~」が本年度期待されている事業の1つとして紹介されました.
(※)COMMONプロジェクト・・・東広島市と広島大学Town & Gown Officeが推進している「Town & Gown 構想」の取組の一つとして行っている協同事業.東広島市役所の各業務部署と大学教員が対話をしながら双方のメリットとなる「共通課題(COMMON, コモン)」を設定し,双方が「顧問(こもん)」となって知見を共有しながら社会・地域課題の解決を目指すことを目的とする.
また,午後からミライクリエ1階の多目的スペースで開催されたポスターセッションでも,小田助教らのCOMMONプロジェクトの紹介ポスターが展示され,企業や他大学などから訪れた参加者の興味を惹いていました.
このポスターは10月20日に広島国際大学で開催された「地域まるごと健幸フェス」でも展示され,今後は11月2日および3日に広島大学東広島キャンパスで開催予定の「広島大学創立75+75周年記念式典・記念事業(第18回広島大学ホームカミングデー)」の物産展(TGO展示ブース)でも展示される予定です.
◆関連記事はこちら → 行事報告 | 小田助教らが東広島市と広島大学の共同事業「COMMONプロジェクト」に認定されました
第7回金曜セミナーで小田助教が講演を行いました
2024年10月18日,広島大学大学院先進理工系科学研究科で2024年度第7回金曜セミナーを開催しました.今回は本グループの小田凌也助教が「サンプル外予測のための変数選択」というタイトルで講演を行いました.
●講演者:小田 凌也 氏(広島大)
●講演題目:サンプル外予測のための変数選択
●講演内容:多変量線形回帰モデルにおいて予測の観点から説明変数を選択する際, サンプル内予測とサンプル外予測の2通りの予測が考えられ, 対応するリスク関数の振る舞いもそれぞれで異なる. 本発表では, サンプル内予測とサンプル外予測に対するリスク関数として平均多変量基準化予測2乗誤差を扱う. これらリスク関数の相違点を述べ, サンプル外予測に対するリスク関数の不偏推定量を構築する.
次回は【11月01日(金)】に開催予定です.どなたでも参加できますのでぜひお越しください!
D3の鬼塚さんが令和6年度広島大学秋季学位授与式で卒業生・修了生の代表として謝辞を述べました
2024年9月20日,広島大学東広島キャンパスのサタケメモリアルホールで,令和6年度広島大学秋季学位記授与式(卒業式)が行われました.学位記を授与された計312人の卒業生・修了生の代表としてD3の鬼塚貴広さんが謝辞を述べました.
広島大学公式X(旧Twitter)には学位授与式のダイジェスト動画が掲載されています.動画には越智学長と手渡された学位記を持っている鬼塚さんとのツーショット写真も掲載されているので(45秒頃),興味のある方は併せてご覧ください!
◆令和6年度広島大学秋季学位記授与式(卒業式)のハイライト動画を作成しました(広島大学公式X)
https://x.com/i/status/1839541545986588965
越智学長から学位記を手渡される鬼塚さん
東広島市役所本館1階で小田助教を代表者とする協同プロジェクトのポスターが展示中です
2024年9月2日から30日までの間,東広島市役所本館1階(東広島市西条栄町8-29)で東広島市×広島大学の協同事業「COMMONプロジェクト」のポスター展が開催中です.
小田助教を代表者とする研究者チームもデータサイエンスを活用した消防署・消防車両・人員配置の最適化問題に東広島市消防局と協力して取り組んでいます.
開催中のポスター展ではCOMMONプロジェクトの内容や小田助教らのプロジェクト含む広島大学・近畿大学・広島国際大学の教員と市の協同プロジェクトのポスターが展示されています.
データサイエンスや数理統計学が社会課題解決にどのように役に立つのか?大学の先生たちの研究が地域貢献につながっていく過程を知ることができる貴重な機会になっていますので,近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!
◆COMMONプロジェクトポスター展2024(東広島市公式サイト)
https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/somu/1_1/1_1/40318.html
【過去の関連記事】
行事報告 | 小田助教らが東広島市と広島大学の共同事業「COMMONプロジェクト」に認定されました
学位請求論文発表会で鬼塚さんが研究発表を行いました
2024年8月21日,東広島キャンパス理学部棟で学位請求論文発表会を行いました.発表者は橋本研究室の鬼塚貴広さんで「Locally Adaptive Bayesian Smoothing using Shrinkage Priors」という題目で発表しました.
●発表者:鬼塚 貴広
●題 目:Locally Adaptive Bayesian Smoothing using Shrinkage Priors (縮小事前分布を用いた局所適合的なベイズ平滑化)
●日 時:2024年8月21日(水)10時30分~11時30分
●場 所:理学部A202(セミナー室2)
8月21日(水)に学位請求論文発表会を行います
2024年8月21日(水)10時30分~11時30分に,東広島キャンパス理学部棟で学位請求論文発表会を行います.発表者および題目は下記のとおりです.
●発表者:鬼塚 貴広
●題 目:Locally Adaptive Bayesian Smoothing using Shrinkage Priors (縮小事前分布を用いた局所適合的なベイズ平滑化)
●日 時:2024年8月21日(水)10時30分~11時30分
●場 所:理学部A202(セミナー室2)
【問い合わせ先】
先進理工系科学研究科 数学プログラム
橋本 真太郎
本グループ修了生の堀川さんが広島大学創立75周年イベントに登壇しました
2024年8月8日~9日に,広島大学東広島キャンパスで創立75周年イベント「デジタルトランスフォーメーション(DX)と地方創生」が開催されました.その2日目のイベント「これからの未来を担う DX への誘い」で本グループの修了生である堀川慧斗さん(㈱日立製作所 アプリケーション事業部)が登壇されました.
堀川さんは2022年に広島大学情報科学部を卒業し,同大学大学院先進理工系科学研究科情報科学プログラムの門田麗准教授の研究室に所属されていました.この春に大学院を修了され,現在は株式会社日立製作所のアプリケーション事業部でご活躍されています.
イベントで堀川さんは情報科学部の卒業生代表として登壇し,「私の進路生活と学生生活」というタイトルで,高校生の頃から学部生・大学院の頃を振り返り,情報科学部を選択した理由や当時の学生生活,進路選択の考え方や現在の仕事を選んだきっかけについて講演をされました.
特に進路選択において,「自分が興味や関心を持った事に従って情報収集や行動を起こしていったことが結果的に良かったのだと思う」と話されていたのが印象的で,参加した高校生や受験生も堀川さんの話に熱心に耳を傾けていました.
8月9日に本グループ修了生の堀川さんが広島大学創立75周年イベントに登壇します
2024年8月9日に広島大学で開催される創立75周年イベント「デジタルトランスフォーメーション(DX)と地方創生」に本グループ修了生の堀川慧斗さんが登壇します.
堀川さんは2022年広島大学情報科学部を卒業,大学院では先進理工系科学研究科情報科学プログラムの門田准教授の研究室に所属されていました.2023年度に修了し,現在は株式会社日立製作所 アプリケーション事業部でご活躍されています.
当日は「これからの未来を担う DX への誘い」と題された高校生・受験生向けイベントの中で情報科学部の卒業生代表として当時の学生生活や進路選択について講演をされる予定です.
イベント参加には事前申込が必要です.詳細・申込は下記からご覧いただけます.
◆「デジタルトランスフォーメーション(DX)と地方創生」を開催します(広島大学公式サイト)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/ids/news/83869
情報科学部への進学を検討中の方におすすめです.ぜひお越しください!
第6回金曜セミナーを開催しました
2024年7月26日,広島大学大学院先進理工系科学研究科で2024年度第6回金曜セミナーを開催しました.今回は本学の山田宏教授が「Seasonal Autocorrelation and Spectral Graph Theory」というタイトルで1時間の講演を行いました.
●講演者:山田 宏 氏(広島大)
●講演題目:Seasonal Autocorrelation and Spectral Graph Theory
●講演内容:The sum of squared first differences, as in the von Neumann ratio and the Durbin-Watson statistic, can be represented as the quadratic form of a graph Laplacian. Similarly, the sum of squared seasonal differences, which is used to measure seasonal autocorrelation and to represent a Matheron’s classical variogram estimator, can also be represented as the quadratic form of a graph Laplacian. The eigenvalues of the former graph Laplacian are well known. What about the eigenvalues of the second graph Laplacian? Actually, they are known. In this paper, after reviewing them, we provide intuitive commentaries on the results using notions from spectral graph theory. We then use them to establish some properties of the seasonal version of the von Neumann ratio.
次回は【10月04日(金)】に開催予定です.どなたでも参加できますのでぜひお越しください!
『やさしい統計入門―視聴率調査から多変量解析まで』の紹介文を著者の一人である藤越康祝名誉教授からいただきました
ブルーバックス(講談社)から発行されている新書「やさしい統計入門―視聴率調査から多変量解析まで」の著者の一人で数理統計学グループにも長年在籍されていた藤越康祝名誉教授からこの本の紹介文をいただきました.この本は世界的に有名な統計学者のC. R. ラオ先生らと構想段階から意見交換を重ねて執筆された統計学の入門書で,日本統計学会75周年記念推薦図書にも指定された初心者向けの新書です.
事務スタッフもこの本を読みましたが,各トピックについて日常に関連したとっつきの良い具体例が提示されていること,この1冊で統計学の概観が把握できるという意味で,統計学初心者が統計学への理解を深める大きな助けになる良書だと思いました.本書では数式も多く使われていますが高校生までの基礎知識で読むことができます.また,なぜこの数式を使うのか?という疑問や計算の過程についても丁寧に説明がなされており,一般の数学書にありがちな「行間が埋められないために理解が進まず立ち止まってしまう」読者の悩みにも応えてくれている,タイトル通り「やさしい」入門書であると思いました.
スタッフの感想と,この本をおすすめ本としてWEBおよびX(旧Twitter)で紹介したい旨を直接藤越先生にお伝えしたところご快諾いただき,また図々しくもこの本に関して何か一言メッセージをお願いしたところ,書籍の紹介文をご寄稿いただきましたので掲載します.
藤越先生による紹介文
本書では、20 世紀に開発された主な統計的方法の考え方や原理を、日常生活で出会う問題に適用し、その解決の方法を例示しながら解説することを目的としています。29 の話題を6 の章に分けた構成になっています。さらに4 つの発展的な話題が付け加えられています。統計の考え方や本質をできるだけやさしく、また、順序立てて書くことを目標にして書きました。
なお、統計の考え方の説明については、著者の一人であるC.R. ラオ著「統計学とは何か」(藤越・柳井・田栗訳 丸善)から引用した部分も少なくありません。とくに、ラオは、統計学による思考法を、「不確実な知識」+「不確実性の度合いについての知識」=「利用できる知識」と表しています。これは、統計学とは何かを理解したり、説明したりする際に、大変役立つと信じています。
藤越 康祝
本書は大学図書館(東広島キャンパス西図書館)や地域の図書館でも借りることができます.興味を持った方はぜひ一度手に取ってみてください!また感想もX(旧Twitter)等でつぶやいていただけるとうれしいです!
第5回金曜セミナーで伊森准教授が講演しました
2024年6月28日,広島大学大学院先進理工系科学研究科で2024年度第5回金曜セミナーが開催されました.前日から県内全域に大雨の心配がありましたが実際は小雨に留まり無事に開催することができました.今回は数理統計学グループの伊森准教授が「高次元線形回帰モデルにおける収束レートに関する研究」というタイトルで1時間の講演を行いました.
●講演者:伊森 晋平 氏(広島大)
●講演題目:高次元線形回帰モデルにおける収束レートに関する研究
●講演内容:高次元線形回帰モデルにおける主要な問題の一つは,回帰係数や良い推定量や目的変数の良い予測値を構築することにある.これらの良さの尺度としてターゲットとなる量への収束レートを考える.本発表では,回帰係数に弱スパース性を仮定した場合の minimax レートについて概説し,共変量シフトや外れ値が生じる状況など,通常の高次元線形回帰モデルで考えられているものとは異なる状況における収束レートについて考察を述べる.
次回は【7月26日(金)】に開催予定です.どなたでも参加できますのでぜひお越しください!
6月14日(金)の第4回金曜セミナーで栁原教授が講演しました
2024年6月14日,広島大学大学院先進理工系科学研究科で2024年度第4回金曜セミナーが開催されました.今回は数理統計学グループの栁原宏和教授が1時間の講演を行いました.
●講演者:栁原 宏和 氏(広島大)
●講演題目:MCp規準の拡張可能性
●講演内容:Mallows (1973) により提案された,標準化予測平均二乗誤差に基づくリスク関数の推定量であるCp 規準は,重回帰モデルの変数選択規準として現在も広く用いられている.しかしながら,Cp規準はリスク関数に対して不偏性を持っているわけでない. リスク関数の不偏推定量として,Fujikoshi & Satoh (1997) により初めて,多変量線形回帰モデルにおいて,modified Cp (MCp) 規準と名づけられた変数選択規準が提案された.以降,モデルや推定法を拡張した MCp規準が提案されている.本発表では,モデルや推定法を拡張するときにどのような難しさがあるのかを述べ,現状MCp規準がどこまで拡張できているかを紹介し,これからの拡張可能性について議論する.
次回は【6月28日(金)】に開催予定です.どなたでも参加できますのでぜひお越しください!
栁原教授が学校法人福山暁の星女子中学高等学校で実施した特別授業のダイジェスト動画を制作・公開しました
今年3月に学校法人福山暁の星学院 福山暁の星女子中学高等学校(広島県福山市)で行った,栁原教授による特別授業「クラスター分析~データサイエンスの中の数学~」のダイジェスト動画を制作・公開しました.
また,この度本グループのYouTubeチャンネルも作成しましたのでよろしければチャンネル登録もお願いします.
◆広島大学数理統計学グループYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCnPRa8HeHxtH0ZI2dc2yeGg?reload=9
〇関連記事:栁原教授が福山暁の星女子中学高等学校で特別授業を行いました(本サイト内)
https://math-stat.hiroshima-u.ac.jp/event_report/#240323
数理統計学グループでは統計分析に関する質問や共同研究のご相談,統計学に関連した研修・講演依頼を受付中です.詳細とお申込みは「数理統計学グループ 統計相談専用サイト」からどうぞ.
小田助教が研究指導を行っている池田高校科学思考班1の発表動画が公開されました
昨年8月に開催された文部科学省,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)主催の「令和5年度(2023年度)スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会(以下,SSH研究発表会)」で,小田助教が研究指導を行っている学校法人池田学園 池田高等学校(以下,池田高校)の科学思考班1の発表動画が公開されました.
◆講演動画はこちら(Youtube)
https://youtu.be/KMKLapIqxDk?si=q2MVwhyir2ScU7TP
この池田高校の科学思考班1の研究発表「『稲束家日記』の天候記述で江戸時代の気象を復元する」は全国ベスト6に選抜され,「審査委員長賞」を受賞しました.
〇関連記事:小田助教が研究指導を行っている池田高校が令和5年度SSH研究発表会でベスト6に入賞,審査委員長賞を受賞しました(本サイト内)
https://math-stat.hiroshima-u.ac.jp/event_report/#230824
◆お知らせ◆
数理統計学グループでは企業・官公庁・各種学校からの統計分析に関する相談,統計学に関連した研修・講演依頼を受け付けています.詳細とお申込みは「数理統計グループ 統計相談」からどうぞ.
栁原教授が福山暁の星女子中学高等学校で特別授業を行いました
2024年3月23日,栁原教授と山村特任准教授が学校法人福山暁の星学院 福山暁の星女子中学高等学校(広島県福山市)を訪れ,教員・生徒へ特別授業を行いました.この取り組みは,同高校の教員が数理統計学グループの修了・卒業生であったことから実現したもので,今回は高校生を対象に「クラスター分析~データサイエンスの中の数学~」というタイトルで特別授業を行いました.
授業では,タイトルの通り「クラスタリング」というルールに従って似た者同士を分類する多変量解析の統計手法について扱いました.クラスタリングの手法について解説した後,具体例としてプロ野球12球団の勝率やゲームキャラクターの個体値,アイドルの総選挙順位をもとにクラスタリングの方法や分析から読み取れる結果について紹介しました.
授業後半では生徒がグループごとに事前に持ち寄ったデータを使って実際にクラスタリングにチャレンジしました.今回は先生がPositcloud上に準備した統計ソフト「R」のデータを各々のiPadに取り込んでクラスタリングを行いました.クラスタリングされた各々のデータについて気づいた点や感想を話し合った後,グループの代表者が自分たちの用いたデータや分析後のデータの考察について発表しました.
芸能人のInstagramのフォロワー数や番組データで分析したグループ,人の性格を16タイプに分類したMBTIを使って教員の性格傾向を分析したグループ,とある生徒の水泳のランキング・タイム・コース等から分析したグループ,日本の有名テーマパークTOP25を来客者数や面積,チケット料金等から分析したグループ等,多種多様なデータで独自の分析・考察がなされ盛りあがりました.
授業に参加した生徒からは,「自分の興味のあるデータを使ってクラスタリングしてみると,意外な結果になり,それを『なぜこんな結果になったのか?』と友達と一緒に考えるのが楽しかった.データを扱うことは難しいと思っていたが,可視化してみると意外にもつながりや傾向が見えてくることがわかりました.」という感想が聞かれました.後にもらったコメントペーパーにも「思ったよりも分析が簡単にできたことに驚き,データ分析をまたやってみたい」という感想が多く見られました.今回の授業をきっかけにデータサイエンスに少しでも興味を持ってもらえれば我々としてはうれしい限りです.
◆お知らせ◆
数理統計学グループでは企業・官公庁・各種学校からのデータサイエンスや統計学に関する相談,研修・講演依頼を受け付けています.詳細とお申込みは「数理統計グループ 統計相談」からどうぞ.
授業を行う栁原教授
グループ発表をする生徒
藤越康祝名誉教授が2023年度日本数学会解析学賞受賞特別講演を行いました
2024年3月20日、大阪公立大学で行われた日本数学会2024年度年会の春季総合分科会において、「2023年度(第22回)日本数学会解析学賞」を受賞した藤越康祝先生(広島大学名誉教授)の受賞特別講演が行われました。
●受賞者:藤越 康祝(広島大学・名誉教授)
●業績題目:高次元統計学におけるモデル選択理論の研究
●英文題目:Studies on theory of model selection in high-dimensional statistics
日本数学会解析学賞は解析学および解析学に関連する分野で著しい業績をあげた者にその業績を顕彰する目的で設置された栄誉ある賞です。藤越先生の受賞理由や受賞時の様子は下記の記事に掲載しておりますので併せてご覧ください。
◆関連記事: 藤越康祝名誉教授が2023年度日本数学会解析学賞を受賞しました
https://math-stat.hiroshima-u.ac.jp/event_report/#231004
2023年度第8回金曜セミナーを開催しました
2024年3月14日、広島大学大学院先進理工系科学研究科で2023年度第8回金曜セミナーが開催されました。普段は金曜日に開催されていますが、今回は統計数理研究所リスク解析戦略研究センターとの共催の特別回として木曜日に行われました。
今回はProfessor Jiang Hu(Northeast Normal University)とProfessor Ke-Hai Yuan(University of Notre Dame)の2名の先生がそれぞれ1時間の講演を行いました。
●受賞者:Professor Jiang Hu(Northeast Normal University)
●業績題目:Eigenvalues of high-dimensional noncentral Fisher matrices with applications
●英文題目:Fisher matrix is one of the most important statistics in multivariate statistical analysis. Its eigenvalues are of primary importance for many applications, such as testing the equality of mean vectors, testing the equality of covariance matrices and signal detection problems. In this paper, we establish the limiting spectral distribution of high-dimensional noncentral Fisher matrices and investigate its analytic behavior. Furthermore, we derive the central limit theorem (CLT) for the spiked eigenvalues. Also, we develop the limits and CLT for the sample canonical correlation coefficients using the results of the spiked noncentral Fisher matrix and present consistent estimators of the population spiked eigenvalues and the population canonical correlation coefficients.
●講演者: Professor Ke-Hai Yuan(University of Notre Dame)
●講演題目:Partial Least-Squares Approach to Structural Equation Modeling: Methodology, Properties and Applications
●講演内容:Structural equation modeling (SEM) is a widely used technique for studies involving latent constructs. While covariance-based SEM (CB-SEM) permits estimating the regression relationship among latent constructs, the parameters governing this relationship do not apply to that among the scored values of the constructs, which are needed for prediction, classification and/or diagnosis of individuals/participants. In contrast, the partial-least squares approach to SEM (PLS-SEM) first obtains weighted composites for each case and then estimates the structural relationship among the composites. Consequently, PLS-SEM is a preferred method in predicting and/or classifying individuals. This talk will (1) introduce the PLS-SEM methodology, (2) discuss its statistical and psychometric properties, (3) highlight issues in its applications with real data, and (4) review recent developments.
D2の鬼塚さん,M2の岩重さんが岡山統計研究会第182回研究会で受賞しました
2024年3月15日,数理統計学グループに所属する博士課程後期2年の鬼塚貴広さん,博士課程前期2年の岩重文也さんの両名が,岡山県内で開催された岡山統計研究会第182回研究会でそれぞれ優秀賞,プレゼン賞を受賞しました.
受賞の詳細は下記の通りです.
●受賞者:鬼塚 貴広(先進理工系科学研究科・D2)
●受賞名:岡山統計研究会第182回研究会優秀賞
●タイトル:境界トレンドのベイズ推定について
●要旨:
時系列データの境界トレンドの推定は,経済学などで重要である.例えば,何らかのコストに対する企業の最大利益を見積もる際によく用いられる.スプライン法に基づく手法がこれまでよく用いられてきたが,局所的に大きく変動するトレンドの推定(局所適合的な推定)は難しい.本研究では,平滑化手法の一つであるトレンドフィルタリングを用いて,局所適合的な境界トレンドのベイズ推定法を提案した.また,形状制約も考慮したモデルにおいて,事後分布のある種の近似を用いることで簡便なギブスサンプリングアルゴリズムを構成した.手法の有用性を,既存手法との数値的な比較によって確認した.
●受賞者:岩重 文也(先進理工系科学研究科・M2)
●受賞名:岡山統計研究会第182回研究会プレゼン賞
●タイトル:有限混合モデルの混合事前分布を用いた確率的ブロックモデルのベイズ推測
●要旨:
ネットワークデータのコミュニティ検出は重要な問題であり,代表的な統計モデルとして確率的ブロックモデルがある.本研究では,コミュニティ数をデータから推定可能なノンパラメトリックベイズの枠組みで,多重辺および自己ループを許容したポアソン尤度に基づく確率的ブロックモデルを提案した.また,事後分布の計算方法として効率的なギブスサンプリングアルゴリズムを構成した.数値実験により,既存手法とのパフォーマンスの比較を行い,提案手法の有用性を確認した.
表彰状を持つ鬼塚さん,岩重さん
D2の鬼塚さんが第18回日本統計学会春季集会でポスターセッションの優秀発表賞を受賞しました
2024年3月09日,数理統計学グループに所属する博士課程後期2年の鬼塚貴広さんが,第18回日本統計学会春季集会ポスターセッションで優秀発表賞を受賞しました.
受賞した発表題目と要旨は下記の通りです.
●発表題目:ベイズ法による外れ値に頑健なグラフィカルモデル
●発表要旨:
変数間のグラフ構造を推定するモデルの一つであるグラフィカルモデルにおいて,確率変数ベクトルに多変量正規分布を仮定すると,グラフ構造の推定は精度行列の縮小推定に帰着される.しかし,データに外れ値が入っている場合,通常の多変量正規分布を仮定したモデルでは推定結果が外れ値に影響されてしまう.本研究では,ベイズ統計の観点でこの問題に対処するため,新たにガンマダイバージェンスを用いた事後分布を定義し,それが外れ値に頑健であることを示した.また,数値実験や遺伝子発現データへの適用を通して,既存手法との比較を行い,有用性を確認した.
優秀発表賞の表彰状
栁原教授が企画立案責任者の一人である研究集会「高次元データ解析・スパース推定法・モデル選択法の開発と融合」を開催しました
2024年3月08日,統計数理研究所で統計数理研究所共同利用 2023年度重点型研究 研究集会「高次元データ解析・スパース推定法・モデル選択法の開発と融合」(Development and Integration of High-Dimensional Data Analysis, Sparse Estimation, and Model Selection Methods)が開催されました.
この研究集会は二宮嘉行先生(統計数理研究所)・栁原宏和先生(広島大学)・川野秀一先生(九州大学)が企画立案責任者となり開催したもので,当日は日本語講演と英語講演の合わせて6講演が行われました.広島大学数理統計学グループからは門田麗准教授と小田凌也助教がそれぞれ講演を行いました.
◆本グループ所属の教員が行った講演
An estimation algorithm for three-mode GMANOVA
Rei Monden (Hiroshima University)
Asymptotic loss efficiency of a model selection criterion in a high-dimensional GMANOVA model
Ryoya Oda (Hiroshima University)
小田助教が研究指導を行っている池田高校科学思考班1が優秀賞を受賞しました
2023年12月23日~24日,熊本県内で「令和5年度九州高等学校生徒理科研究発表大会」が行われ各高等学校の高校生グループが研究発表や質疑応答に臨みました.
その中で,小田助教が昨年度から研究指導を行っている学校法人池田学園池田高等学校の科学思考班1の4名の生徒さんらは「伊居太神社日記の天気記録で江戸時代の天候を復元してわかったこと」というタイトルで研究発表を行い,2位に相当する優秀賞を受賞しました.
科学思考班1の皆さんは2024年も様々な大会でのプレゼン発表を控えており,今後も小田助教らとともに皆さんの取り組みを応援していきたいと思っています.
◆お知らせ◆
数理統計学グループでは企業・官公庁・各種学校からの統計分析に関する相談,統計学に関連した研修・講演依頼を受け付けています.詳細とお申込みは「数理統計グループ 統計相談」からどうぞ.
橋本准教授が訳者の一人として翻訳を行った「標準ベイズ統計学」の紹介文を掲載しました
橋本准教授が訳者の一人として翻訳を行った「標準ベイズ統計学」が2022年6月に朝倉書店から出版されました.本書は発売まもなく重版が決定し,日本語訳も自然でわかりやすいとSNSでも話題になったベイズ統計学の専門書です.この度,橋本先生から本の紹介文をいただきましたので掲載します.
紹介文
原著(Peter, D. Hoff, ”A First Course in Bayesian Statistical Methods”, Springer, 2009)は欧米の大学院教育で標準的な教科書として使用されているベイズ統計学の書籍で,広島大学における大学院でのベイズ統計学の教育にも使用してきました.
ベイズ統計学を学ぶには,その確率の考え方を学ぶことが重要であり,本書はその考え方から始まり,基本的な統計モデルのベイズ推測の基礎,事後分布の計算に必要なマルコフ連鎖モンテカルロ法の実装方法や利用上の注意点が詳しく解説されています.後半では,欠測値の扱いや,線形回帰モデルの変数選択,一般化線形混合モデルについても扱われています.ベイズ統計学に入門し,研究へと進む学部上級から修士課程の学生や,実務でベイズ統計学を使うビジネスマンにもお勧めできる一冊です.予備知識としては,大学の教養レベルの微分積分学と線形代数学の知識があれば十分に読み進めることが可能です.本書のその他の特徴については英語・日本語ともに多くの素晴らしい書評があるのでそちらをご覧いただければと思います.個人的に気に入っている部分は,各章の最後にある「補足と文献案内」で,各章における歴史的な背景や次に読むべき論文が詳しく紹介されているのでそれらも含めると現代のベイズ統計学についての基礎的な部分は一通り学習できると思っています.本書は翻訳本ですが,単なる翻訳ではなく、日本語として読みやすい教科書となるよう訳を工夫したところもベイズ統計学を専門にしている研究者らが翻訳したことの利点だと思っています.
本書はベイズ統計学を日本語で体系的に学習できる数少ない和書であることから多くの大学で教科書として採用もしていただいています.しかしながら,原著の出版が2009年であり,近年に発展した事項はあまり記載されていないため,それらを取り扱った書籍の出版も期待されます.ベイズ統計学の利用やその研究は日本では欧米諸国において遅れをとっているように感じるため,この翻訳を通して国内のベイズ統計学の研究・教育に少しでも貢献できたのであれば嬉しい限りです.
本書は広島大学図書館で借りることもできます.興味を持った方はぜひ一度手に取ってみてください!
小田助教らが東広島市と広島大学の共同事業「COMMONプロジェクト」に認定されました
数理統計学グループの小田助教を研究代表者とする研究チームが東広島市と広島大学Town & Gown Officeの共同事業「COMMONプロジェクト」に認定されました.本年度から東広島市消防局と協同でデータサイエンスを活用した消防署・消防車両・人員配置の最適化問題に取り組みます.
●プロジェクト名
「現在の需要分布に合わせた消防車両と隊員の最適配備~サスティナブルな消防力50年計画を目指して~」
●大学側プロジェクトメンバー(★印は数理統計学グループ所属)
小田 凌也(広島大学・助教)★
小野 真彦(広島大学・大学院博士課程後期)★
福井 敬祐(広島大学・客員准教授, 関西大学・准教授)
稲川 敬介(秋田県立大学・助教)
小笠原 悠(東京都立大学・助教)
◆COMMONプロジェクトとは?
東広島市と広島大学Town & Gown Officeが推進している「Town & Gown 構想」の取組の一つとして行っている共同事業です.東広島市役所の各業務部署と大学教員が対話をしながら双方のメリットとなる「共通課題(COMMON, コモン)」を設定し,双方が「顧問(こもん)」となって知見を共有しながら社会・地域課題の解決を目指すことを目的としています.
◆プロジェクト概要
東広島市消防局管内の各消防庁舎で配置している消防ポンプ車や救急車の数は,消防庁の示す目指すべき水準値よりも低く,また消防局員数も水準値に満たしておらず,体制維持が不十分という課題が存在しています.
そこで,小田助教を中心とした時空間分析などの最新のデータサイエンスの専門家と数理最適化と呼ばれる「オペレーションズ・リサーチ(OR)」の専門家による研究者チームを結成し,東広島市消防局消防総務課とともに現在の消防需要を適切に把握し,将来の人口減少問題を見据えた消防署・車両・人員の最適配置を行うことで課題解決を目指します.
東広島市消防局を視察するプロジェクトメンバーたち
数理統計学グループの公式X(旧Twitter)を開設しました
11月下旬に数理統計学グループのX(旧Twitter)アカウントを開設しました.このWEBサイトの更新情報や,数理統計学グループが主催する金曜セミナーの案内,日々のつぶやき等をグループの学生が発信しておりますのでぜひご登録をお願いします!
●広島大学数理統計グループXアカウント(@HU_stat)
https://twitter.com/HU_stat
また,広島大学TGOアプリのコミュニティ「数理統計グループ(公式)」でも同様に学生が情報発信を行っておりますのでこちらも併せてご覧ください!
M2の石原さんが日本計算機統計学会 第37回シンポジウムで学生研究発表賞を受賞しました
2023年11月11日,数理統計学グループに所属する博士課程前期2年の石原政佳さんが,宮崎県内で開催された日本計算機統計学会 第37回シンポジウムで学生研究発表賞を受賞しました.
同賞はシンポジウムに登壇した学生発表者の中から特に優秀な発表を行った者に贈られる賞で,石原さんは発表者全28人の中からベスト8発表者の1人に選ばれました.
受賞した発表題目および要旨は下記の通りです.
・題目:がん死亡に対する出生コホート効果の柔軟な検出
・要旨:
がんによる死亡数は減っているものの死因としては2022年現在日本第1位となっている. そのため今後も効率的ながん対策を企画・立案していくことが重要な課題となる. そして効率的ながん対策を策定するためには, がんリスクの正確な傾向を明らかにすることが重要である. そこで我々は, 自明でない複数の出生コホート効果を自動的に検出する統計的手法を開発した. 出生コホート効果を記述することは, 将来のがん死亡率を予測する統計モデルにおいて重要である.
賞状を受け取る石原さん
小田助教が研究指導を行っている池田高校がWWL鹿児島研修・SSHコンソーシアム合同研修で研究発表を行いました
2023年10月23日~25日,鹿児島県内でWWL鹿児島研修・SSHコンソーシアム合同研修が開催され,学校法人池田学園池田高等学校と東京都の富士見丘高等学校がそれぞれの課題研究発表を行いました.
その中で,小田助教が研究指導を行っている池田高等学校の科学思考班の生徒さんらは「「伊居太神社日記」の天気記録で江戸時代の天候を復元してわかったことー2つの古文書をつなぐ試みー」というタイトルで研究発表を行いました.発表した1年生の生徒さんはとても緊張しつつも堂々とした様子で質疑応答に応じていたのが印象的でした.
この合同研修はリアルタイムで配信されており,当日は広島からも教員らが生徒さんの発表の様子を見守っていました.現在はダイジェスト版をYoutube動画で閲覧することができますのでぜひご覧ください.
◆2023 富士見丘WWL鹿児島研修(Youtube動画)
https://youtu.be/E3lt66XjmuE
※6:08~7:55頃に発表ダイジェストが流れます.
栁原教授の「知を鍛える−広大名講義100選−」に選ばれた講義動画が公開されました
広島大学の「知を鍛える−広大名講義100選−」に数理統計学グループの栁原教授の講義が選ばれ,公式YouTubeに講義動画「スパース推定を用いた空間効果の推定」が公開されました.
本動画では,マンションやアパートの賃料を物件の面積,築年数,最寄り駅からの距離などの複数の要因から予測するモデルを作り,さらに「Fused Lasso」と呼ばれる手法を使って物件の所在地域による影響を統計的に推測する方法を紹介しています.
Fused Lassoはスパース推定の1つで,住所などの空間情報から空間効果を推定する方法です.本動画では東京都23区内の物件を例にあげて紹介されていますが,区によって賃料の幅に差が生じており,都心部や中央線沿いは他の地域に比べて賃料が高いことが知られています.Fused Lassoを用いてこういった所在地域による影響(地域効果)を統計的に推測すると,影響が似た地域をまとめることができ,予測モデルの精度をあげることができるのです.
この動画ではそのFused Lassoを用いた推定方法や他の手法との違い,Fused Lassoを使うことのメリットについてあまり数式を用いずにわかりやすく紹介していますので,ぜひ一度ご覧ください!
藤越康祝名誉教授が2023年度日本数学会解析学賞を受賞しました
2023年9月20日~23日に東北大学で行われた日本数学会2023年度秋季総合分科会において,「2023年度(第22回)日本数学会解析学賞」の受賞者が発表され,数理統計学グループの名誉教授である藤越康祝先生が受賞者に選ばれました。
受賞者:藤越 康祝(広島大学・名誉教授)
業績題目:高次元統計学におけるモデル選択理論の研究
英文題目:Studies on theory of model selection in high-dimensional statistics
日本数学会解析学賞は解析学および解析学に関連する分野で著しい業績をあげた者にその業績を顕彰する目的で設置された栄誉ある賞です。
藤越名誉教授は,栁原教授(当時は准教授)と若木教授とともに,統計モデルを評価するための規準である「情報量規準」に関する新たな性質を発表し,世界の研究者を驚かせました。
当時統計学の世界では,情報量規準の中でも「ベイズ型情報量規準(以下,BIC)」は一致性という性質を持ち,一方で「赤池情報量規準(以下,AIC)」は一致性を持たないということが一般的な見解でした。
しかし,「高次元統計学においてはAICが一致性を持ち,BICが一致性を持たない」,そんな逆転現象が起こることを共著論文,Yanagihara, Wakaki and Fujikoshi (2015) で発表しました。
この従来の統計学の常識を覆す大発見は国際的にも高く評価されました.藤越名誉教授はこの逆転現象が多くの多変量モデルでも起こることを発表し,今回の日本数学会解析学賞の受賞に至りました。
藤越先生のこれら一連の研究成果については,2024年3月16日~20日に大阪公立大学で開催予定の日本数学会2024年度年会の受賞特別講演で聴くことができます.興味のある方はぜひ聴講してみてくださいね。
M2の石原さんが第64回日本社会医学会総会でヤングリサーチャー賞を受賞しました
2023年7月30日、数理統計学グループに所属する博士課程前期2年の石原政佳さんが、第64回日本社会医学会総会(早稲田大学)の高校生・大学生ポスターセッションにおいてヤングリサーチャー賞を受賞しました。
石原さんは、将来性に富むポスター発表であると認められたため本賞を受賞しました。
・題 目:喫煙率に対する変化係数モデルを用いた出生コホート効果の推定
・発表者:石原 政佳(先進理工系科学研究科数学プログラムM2)
小田助教が研究指導を行っている池田高校が令和5年度SSH研究発表会でベスト6に入賞,審査委員長賞を受賞しました
2023年8月9日,兵庫県内の神戸国際展示場で開催された,文部科学省,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)主催の「令和5年度(2023年度)スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会(以下,SSH研究発表会)」で,小田助教が研究指導を行っている学校法人池田学園 池田高等学校(以下,池田高校)の高校生の研究が全国ベスト6に選抜され,翌10日の最終プレゼンテーションの結果,「審査委員長賞」を受賞しました.
SSH研究発表会は全国にあるSSH指定校の生徒の研究成果を発表する全国大会で,今年は全国から計221校が参加し各々の研究についてのポスター発表を行いました.その中で,池田高校から参加した科学思考班①の研究「『稲束家日記』の天候記述で江戸時代の気象を復元する」が科学・社会学の両面からアプローチを行った研究として審査員に高く評価されベスト6 に入賞,さらに「審査委員長賞」受賞となりました.
小田助教は昨年度から池田高校の科学思考班へ数理統計学を用いた分析手法に関する研究指導を定期的に行っており,今後もメールやオンラインツールなどを用いて議論を重ね,さらに高校生の研究がより良いものになるようサポートを行う予定です.
◆お知らせ◆
数理統計学グループでは企業・官公庁・各種学校からの統計分析に関する相談,統計学に関連した研修・講演依頼を受け付けています.詳細とお申込みは「数理統計グループ 統計相談」へどうぞ.
小田助教が研究指導を行っている池田高校が2023かごしま総文祭で文化庁長官賞を受賞しました
2023年7月31日,鹿児島県内で第47回全国高等学校総合文化祭(以下,2023かごしま総文祭)が開催され,小田助教が研究指導を行っている学校法人池田学園 池田高等学校の科学思考班①の研究「稲塚家日記の天候記述で江戸時代の気象を復元する」が自然科学部門のポスター発表の部で文化庁長官賞を受賞しました.
池田高校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の採択校の1つで,文理融合・分野横断型の研究に取り組んでいます.昨年度,同高校の池田校長から気象状況の復元にあたり数理統計学を用いた適切な分析手法についての指導・助言依頼があり,2022年6月から小田助教が生徒・教員への研究指導を定期的に行っています.
2023かごしま総文祭のポスター発表の部では各都道府県での審査を経て選出された45組の高校が各々の研究の独自性や表現力をアピールしました.池田高校の研究発表は,細やかな分析を行っていることやプレゼンテーション能力の高さが審査員から特に評価され,全都道府県の準優勝に相当する「文化庁長官賞」を受賞しました.
池田校長からも「生徒の今後の進路選択にも大きな意味をもつ評価をいただき,広島大学の先生方のご指導があってのことで感謝をしております」との言葉をいただきました.今後も引き続きメールやオンライン等でのやりとりを通じて,高校生が取り組む研究へのサポートを定期的に行う予定です.
◆お知らせ◆
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橋本准教授による,広島大学で統計学を勉強したい高校生向けの講義動画「不確実性を評価する」が公開されました
今月,高校生向け講義動画サイトの夢ナビに数理統計学グループの橋本准教授の講義動画「不確実性を評価する ベイズの公式で学ぶ統計的推測入門」がアップロードされました.
◆不確実性を評価する/橋本 真太郎准教授(夢ナビWEBサイト)
広島大学の教員による講義動画 (yumenavi.info)
「ベイズ統計学」という言葉自体は皆さんにとって初めて耳にする言葉かもしれませんね.
しかし,ベイズ統計学の理論は日常で利用されていて,例えばメールボックスの迷惑メールの振り分けや,インターネット通販の検索中に表示される「この商品を見た人はこちらの商品もおすすめです」というおすすめ機能(レコメンドアルゴリズム)などに用いられています.
上記の動画では,橋本准教授の専門である「ベイズ統計学」について
・健康診断の検査結果の信頼性
・2人の野球選手のどちらを代打として送るのが良いか?
の2つの例を用いてわかりやすく解説をしています.ぜひご覧ください!!
小田助教が池田高校の高校生にSSH特別研修を行いました
2023年8月18日,鹿児島県の学校法人池田学園 池田高等学校の高校1年生・2年生・教員合わせて14名が広島大学東広島キャンパスを訪れ,情報メディア教育研究センター本館セミナー室で数理統計学グループ教員らによる特別研修を受講しました.
池田高校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の採択校の1つで,未来のグローバルサイエンスリーダー育成を目的とし1つの分野に偏らない文理融合・分野横断型の研究に取り組んでいます.
今回本学を訪れた高校生は科学思考班①のメンバーで,古文書に書かれた記述をもとに当時の気温や気候を復元する研究を行っています.昨年度校長先生を通じて数理統計学グループに学術指導の依頼があり,メールによる研究アドバイスやzoomでのミニ講義を実施していましたが,対面での指導は今回が初めてでした.
特別研修では,数理統計学グループの小田助教がメイン講師となり,古文書から得られたデータから過去の気象台の降水出現率を重回帰分析で復元する方法や,実測値からのモデル値のずれを補正する「ピアニの方法」について講義を行いました.また,関西大学の福井准教授(2023年3月まで本グループに所属)からもデータサイエンスの概念やそれを学ぶ重要性について講義が行われ,高校生は時折メモを取りながら話に耳を傾けていました.
また,後半には実際の数値データを使ったExcel演習も行われ,高校生は慣れない操作に戸惑いながらも小田助教や教員らのサポートを得ながら一生懸命取り組んでいました.
池田高校とは今後もメールやオンライン等でのやりとりを通じて,高校生が取り組む研究へのサポートを定期的に行う予定です.
◆お知らせ◆
数理統計学グループでは企業・官公庁・各種学校からの統計分析に関する相談,統計学に関連した研修・講演依頼を受け付けています.詳細とお申込みは「数理統計グループ 統計相談」へどうぞ.
門田准教授が国際会議の招待セッションを企画し座長を務めました
2023年6月14日~16日にイタリア・ローマで国際学会「15th International KES Conference(KES-IDT-23)」が開催され,本講座からは栁原教授・門田准教授・小田助教の3名が参加しました.
KES-IDT-23は,情報システムや意思決定システムの開発やコンピュータサイエンス分野の応用および理論に関する基調講演,口頭発表,ポスター発表,招待セッション,ワークショップで構成される国際学会です.
門田准教授は学会1日目の午後に「Recent Development of Multivariate Analysis and Model Selection」(多変量解析とモデル選択の最近の発展)という招待セッションを公益財団法人放射線影響研究所の山村麻理子研究員とともに企画・設定し,当セッションの座長を務めました.講演者からは多変量解析に関する理論的および実証的な研究やモデル選択に関する講演が計6件提供され,うち3件は栁原教授・門田准教授・小田助教が現地で,うち1件は門田研究室の堀川さん(M2)がオンラインで講演を行いました.
余談になりますが,ローマ滞在中に地下鉄駅のホームで突然見知らぬ二人組にバッグを掴まれ盗られそうになりました.幸いにもその場にいた地元の方が大声を出してくださったので被害に遭うことはなくバッグも無事でした.皆さんもスリには気を付けてくださいね.
招待セッション講演一覧(◆が本講座所属の教員が行ったもの,◇が本講座所属の学生が行ったもの)
◆「Modified Cp Criterion in Widely Applicable Models」
Hirokazu Yanagihara, Isamu Nagai, Keisuke Fukui, Yuta Hijikawa
「Geographically Weighted Sparse Group Lasso: Local and Global Variable Selections for GWR」
Mineaki Ohishi, Koki Kirishima, Kensuke Okamura, Yoshimichi Itoh, Hirokazu Yanagihara
◆「Kick-one-out-Based Variable Selection Method Using Ridge-type Cp Criterion in High-dimensional Multi-response Linear Regression Models」
Ryoya Oda
◇「Estimation Algorithms for MLE of Three-mode GMANOVA Model with Kronecker Product Covariance Matrix」
Keito Horikawa, Isamu Nagai, Rei Monden, Hirokazu Yanagihara
◆「Implications of the Usage of Three-mode Principal Component Analysis with a Fixed Polynomial Basis」
Rei Monden, Isamu Nagai, Hirokazu Yanagihara
「Spatio-temporal Analysis of Rates Derived from Count Data Using Generalized Fused Lasso Poisson Model」
Mariko Yamamura, Mineaki Ohishi, Hirokazu Yanagihara
研究集会「多変量統計学・統計的モデルの新展開」を主催しました
2023年3月16日~18日,広島大学東千田キャンパス内の未来創生センターで研究集会「多変量統計学・統計的モデル選択の新展開」を主催しました.研究集会中は県内外から40名の研究者が参加し,17名の研究者による講演が行われました.
研究集会2日目の17日には,令和4年春の叙勲伝達式で瑞宝中綬章を授章された広島大学名誉教授・藤越康祝氏,そして昨年12月に還暦を迎えた同大学数理統計学グループ教授・若木宏文氏による特別講演がそれぞれ行われました.
研究集会では講演者が両氏にまつわる思い出話を語る時間が設けられており、講演者が持ち込んだ両氏の思い出写真をスライドに映しながら各々の思い出話が披露され,会場では時折笑いが起きるなど終始和やかな雰囲気に包まれていました.
また,2日目の夜には両氏へのお祝いを兼ねた懇親会がANAクラウンプラザホテル広島で開催され,両氏へのお祝いの言葉や教え子たちによる花束・記念品の贈呈が行われました.
中国電力社員向け講座を開講しました
2022年10月16日,広島大学東千田キャンパスにある未来創生センター(広島県広島市)にて中国電力株式会社(広島県広島市)の社員を対象とした統計講座が開講されました.
講座は数理統計学グループ所属の福井 敬祐先生(広島大学大学院先進理工系科学研究科・准教授)が全ての回を講師として担当します.
講座では計6回に渡り,統計解析のフリーソフト「R Studio」の基本操作やグラフの描画方法や各手法について学びます.また本講座は現地とオンラインのハイブリッド形式で開催されており,両方合わせて50名程度の参加者が福井先生やティーチング・アシスタントの大学院生の助言を受けながら自ら持ち込んだノートパソコンを使い一生懸命統計分析に取り組んでいます.この講座は11月末まで行われる予定です.
◆お知らせ◆
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藤越康祝 名誉教授の叙勲伝達式が執り行われました
2022年6月30日,藤越康祝 名誉教授の令和4年春の叙勲伝達式が執り行われました.藤越名誉教授は,数理統計学の研究の発展や研究者の育成に寄与され,2021年度まで本グループにも所属されていました.伝達式では,藤越名誉教授に勲記と瑞宝中綬章の贈呈が行われ,広島大学の黒岩芳弘理学部長からお祝いの言葉が送られました.
藤越名誉教授からの授章コメント
「昭和39年に広島大学理学部を卒業以来,一貫して,統計科学分野の研究・教育と組織の充実に務めてきました.その間,統計科学分野の研究論文190編および著書20編を発表し,日本統計学会の理事長・会長を努めました.また,多くの方々からご指導も頂きました.最近,大量なデータが得られやすくなったこと等も関連し,統計科学の重要性が再認識されています.このような状況下で,瑞宝中綬章を頂き,感謝しています.」
伝達式は新型コロナウイルス感染拡大防止のため,広島大学理学部で行われました.伝達式後には,かつて藤越名誉教授が在籍していた本グループの若木宏文教授および柳原宏和教授と写真撮影を行い,グループの様子や研究についての話で盛り上がりました.
(左から)栁原教授・藤越名誉教授・若木教授
瑞宝中綬章
県内の中学生が数理統計学グループ研究室を訪問しました
2022年3月25日,学校法人福山暁の星学院中学・高等学校(広島県福山市)の教師・生徒が数理統計学グループの研究室を訪れました.
この「研究室訪問」の取り組みは,同校の教員が数理統計学グループの卒業生であったことから実現したもので,今回は統計学に興味・関心のある2名の中学生が広島大学理学部を訪れ,大学教員による90分間の模擬授業を受講しました.
模擬授業は,数理統計学グループの栁原先生(先進理工系科学研究科・教授)が講師となり,「クラスタリング~データサイエンスの中の数学~」というタイトルで行われました.
授業では,データをルールに従ってグループ分けすることで数字データの羅列からは一見分からない傾向を見つける「クラスタリング」という手法について扱いました.プロ野球12球団の勝率や,ゲームキャラクターの個体値などの親しみやすいデータを例に具体的な分析方法を紹介し,参加した生徒たちも実際に手を動かし自らデータ分析に挑戦しました.
また授業中には,「数学・統計学が好き」という気持ちを持ち続けていた栁原先生の研究者になるまでの道のりも併せて紹介され,栁原先生から「好きになるきっかけを見つけるためにも,いろいろな出会いを大切に積極的に色んなことを経験してほしい」というメッセージを生徒たちに送りました.
参加した生徒たちは通常よりも長い授業時間にも関わらず熱心に,時に笑いも交えながら受講し,パソコンを用いたデータ分析演習にも一生懸命取り組んでいました.
◆お知らせ◆
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講師の栁原先生
データ分析をする生徒